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作品
鉄塔の火星人 少年探偵団員で、中学一年の中村(なかむら)君と、有田(ありた)君と、長島(ながしま)君の三人は、大のなかよしでした。 ある午後のこと、有田君と長島君が、中村君の家に、遊びにきていました。 中村君の家は港(…
紳士 ある夕がた、少年探偵団の名コンビ井上一郎(いのうえいちろう)君とノロちゃんとが、世田谷(せたがや)区のさびしいやしきまちを歩いていました。きょうは井上君のほうが、ノロちゃんのおうちへ遊びにいったので、ノロちゃんが…
1 ある日、しょうねんたんていだんのぽけっと小(こ)ぞうは、ひとりで、さびしいのはらをあるいていました。 ぽけっと小ぞうは、小がっこう四ねんせいですが、ようちえんのせいとみたいにからだが小(ちい)さくて、ぽけっとにでも…
ある日の暮方の事である。一人の下人(げにん)が、羅生門(らしょうもん)の下で雨やみを待っていた。 広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗(にぬり)の剥(は)げた、大きな円柱(まるばしら)に、蟋蟀(きり…
小田原熱海(あたみ)間に、軽便鉄道敷設(ふせつ)の工事が始まったのは、良平(りょうへい)の八つの年だった。良平は毎日村外(はず)れへ、その工事を見物に行った。工事を――といったところが、唯(ただ)トロッコで土を運搬する…
募集
一 ある日の事でございます。御釈迦様(おしゃかさま)は極楽の蓮池(はすいけ)のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。池の中に咲いている蓮(はす)の花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色(…
僕はこの原稿を発表する可否は勿論、発表する時や機関も君に一任したいと思つてゐる。 君はこの原稿の中に出て来る大抵の人物を知つてゐるだらう。しかし僕は発表するとしても、インデキスをつけずに貰ひたいと思つてゐる。 僕は今最…
保吉(やすきち)はずつと以前からこの店の主人を見知つてゐる。 ずつと以前から、――或はあの海軍の学校へ赴任した当日だつたかも知れない。彼はふとこの店へマツチを一つ買ひにはひつた。店には小さい飾り窓があり、窓の中には大将旗…
趙の邯鄲の都に住む紀昌といふ男が、天下第一の弓の名人にならうと志を立てた。己の師と頼むべき人物を物色するに、當今弓矢をとつては、名手・飛衞に及ぶ者があらうとは思はれぬ。百歩を隔てて柳葉を射るに百發百中するといふ達人だ…
隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった。いくばくもなく官を退いた後は、故山、※(「埒のつくり+虎」、第3…